こんとんたうん

惜しまれつつも休刊となって久しい講談社のマガジンＺ。
我輩自身はわりと好きなマンガも多かったマガジンＺなのだけど、とりわけ気になったのは「仮面ライダーSPIRITS」の行方。
老若男女のライダーファンだけでなくさまざまな大人の事情も絡んでいるので「絶対」打ち切り同然に終わる事はないと思っていたが、結局月刊少年マガジンに移籍して（タイトルも「新 仮面ライダーSPIRITS」に変更されて)絶賛連載中・コミックスの一巻も発売中であります。



というか、マガジンＺって他のマンガ何かあったっけみ？

失礼な事言うな！ウルトラマン・STORY０（ゼロ）もあるだろ！センセイさんに怒られるぞ。

でまあ肝心の「新 ライダーSPITITS」ですが、実は中断してた本編そっちのけでライダーファン永遠のミッシングリンク「旧一号ライダー編～二号ライダー誕生編」が展開されてました。
元々二号ライダー・一文字隼人の登場は仮面ライダー・本郷猛役の藤岡弘氏の事故によるアクシデントに対する緊急措置だったためで、その登場に関わる前フリとかエピソードは番組本編では描かれる事はなかった…というのはまあ諸君もご存知通りであるが。

知らんみよ。

じきるおねえちゃんならわかったと思いますですが。

ワタクシ達にはわかりかねますな。

まあ実際仮面ライダーSPIRITS読者の多くはこんな感じだと思うが…というか我輩も本放送は見られなかったし。

７人ライダー本放送～スカイライダー放映によるリバイバル当時の児童書やケイブンシャなどの大百科シリーズでは、そのあたりのエピソードはそれぞれ別個…というか勝手に語られていたが、概ねでは「一文字隼人はショッカーに捕らえられ、仮面ライダーに対抗するため同一体に改造されたのだが、脳改造直前に一号ライダーに助けられた」という認識で統一されていた。
オープニングの一部で一文字が手術台に縛られている映像などから、当時の子供には一人一人にはさまざまなエピソードが脳内補完されていた事でしょう。

で、今月発売の月マガから中断してたアマゾンVSガランダー編が再開した記念として我輩「渡志郎」の視点から「新 仮面ライダーSPIRITS」の『旧一号ライダー編～二号ライダー誕生編』を噛み砕いて解説していこうかと。

なおここではＴＶ番組上のストーリーに沿っている第１話～２話を「本郷ライダー哀闘編」
一文字隼人を救出するオリジナルエピソード部分である第３話以降を「二号ライダー誕生編」とします。勝手に。

チャッチャチャ～ン・チャチャチャチャン♪

第一号・時系列を追って読んでみる。

「一号ライダー哀闘編」はＴＶストーリーに沿って書かれている。
冒頭で登場するのは会話から本郷（仮面ライダー）に助けられたと思われる姉弟。

本郷を捕らえるカメラ…あやつるのは一文字。

　

この時点で二人はファーストコンタクトするのだが、一文字の語りや救出された姉弟から番組本編における第４話「人食いサラセニアン」の直後と思われる。

　

一文字は「ショッカー」「それと戦う仮面の男」の存在を知っており、本郷猛＝ショッカーの改造人間という狙いを既につけている。

一文字はショッカーの犠牲者遺族達からも情報を集めていた。

その後もかまきり男、ハチ女、コブラ男、死神カメレオンなど番組の順番通りに怪人が登場する流れとなっており、１１話「吸血怪人ゲバコンドル」での滝和也が登場。

番組本編では結婚したはずの滝のその後の結婚生活は描かれなかったが、新SPIRITSの中ではショッカー調査のための偽装結婚である事が伺える。

　

ショッカー被害者遺族達もゲバコンドルの出現する教会を自分達で調査に向かうが…

　　

１３話「トカゲロンと怪人軍団」に登場する再生怪人達がこのゲバコンドルとの緒戦の時点で再生されている事、そして彼らによって一文字がショッカーに捕らえられているのが時を同じくしてという描写がされているのは面白い。

　

余談だが、ゲバコンドルは過去の怪人達の強い要素を集めて作り上げた怪人という設定であり、倒された怪人達はその研究過程で再生されたとも考えられる…のだが、１３話ではゲバコンドルはおろか１２話に登場したヤモゲラスまでも再生されており、ゲバコンドルのための再生怪人と言い切るには少々苦しい。

そして…ライダーとゲバコンドルとの戦いに決着がついたほぼ同じ頃、ショッカーの科学陣によって新たな運命の男が生み出されようとしていた。

この後ルリ子がバイクを購入しているシーンは番組本編でルリ子がメインとなってライダーを助ける程の活躍をする１２話「殺人ヤモゲラス」の補完エピソードではあるのだが、「新 SPIRITS」においてはさらなる伏線となっている…が、これは後に触れるとしよう。

　

トカゲロンと怪人軍団を電光ライダーキックで打ち破る事で本編エピソードとの並走は一旦終了し、この後は完全オリジナルエピソード「仮面ライダー二号誕生編」へと進む。

　

　　

ここでこれまでの時系列を図にまとめてみよう。

番組本編の流れ	「新 仮面ライダーSPIRITS」の流れ
第１話「怪奇蜘蛛男」 ・本郷猛、改造人間にされる。 ・緑川博士、蜘蛛男に殺害され現場を見たルリ子は犯人を本郷と思い込む。
第２話「恐怖蝙蝠男」	（この部分は一文字の会話から） ・一文字、ライダーと蝙蝠男との戦いを目撃。 ・一文字、ショッカーの事件に関わる男「本郷猛」を突き止める。
第３話「殺人さそり男」～ 第４話「人喰いサラセニアン」 ・仮面ライダー、サラセニアンにさらわれた姉とその弟を救う。
	第１話「本郷ライダー哀闘編」 ・一文字、本郷とファーストコンタクト。 ・一文字、ショッカーの被害者遺族らと面会。同時に「本郷猛」についての調査のため緑川ルリ子とアポを取る。 ・死神博士、ショッカー日本支部（？）に登場。
第５話「怪人かまきり男」 ・ルリ子、ライダーが本郷である事を薄々察し始め、態度を軟化させる。
	・ルリ子、一文字と面会。 本郷への容疑を撤回し潔白を主張する。
第６話「死神カメレオン」～ 第１０話「よみがえるコブラ男」
第１１話「吸血怪人ゲバコンドル」 ・本郷役の藤岡弘負傷のため、本郷の登場シーンは全てバンクシーンに。 ・話の主軸となる役目として滝和也が登場する。	・ショッカー、蜘蛛男～コブラ男までの怪人を再生。 ・ショッカー被害者遺族達、ショッカーのアジトにおびき出され再生怪人軍団に殺害される。 ・一文字、生き残った小暮・石神の２名を救うため再生怪人と戦う。 ここより新SPIRITS第２話 ・一文字、ショッカーに捕らえられ「仮面ライダー」への改造手術が開始される。
	・ルリ子、バイクを購入。本郷にバイクの手ほどきを受ける。
第１２話「殺人ヤモゲラス」 ・１１話同様、本郷に代わる話の主軸としてルリ子をメインに展開。 バイクに乗りショッカーを追い、ヤモゲラスの泡に固められたライダーを助けるなどの活躍を見せる。
第１３話「トカゲロンと怪人大軍団」 ・ショッカー、蜘蛛男からヤモゲラスまでの全ての再生怪人に原子力研究所を襲撃させるがバリヤーに阻止される。バリヤー破壊ボールを蹴りとばす力を持つ怪人トカゲロンを誕生させる。
	・小暮と石神、ルリ子と合流しショッカーのアジトへ潜入。 ルリ子からの情報を元に滝と藤兵衛もアジトへと潜入。 ・本郷猛、改造された一文字を発見。
	第３話以降・『仮面ライダー２号誕生編』
（設定上・本郷とルリ子はショッカーを追ってヨーロッパへ旅立つ）
第１４話「魔人サボテグロンの襲来」 ・滝と藤兵衛の前に一文字が初登場。仮面ライダー第２号に変身する。

さて、ここまでは時系列そのものをメインに話を進めてきたわけですが、それだけで終わらないのが『新 仮面ライダーSPIRITS』。
上の表でも触れている通り本郷以外の人物が一文字に関わるサイドエピソードもふんだんに準備されているので、それらのエピソードについては次回以降触れてみよう。