大解説!「新 仮面ライダーSPIRITS」(最終回)

いよいよ今回で最終回。なんとか1月中に更新終わった!
それになんの意味があるです?
いや、なんとなく1月中に上げないとキリがなくなっちゃいそうだなーと思って。
実はほんとに最初は二回くらいでおわらせようかと思ったんだけど、もう語る事語る事いろいろ出てきちゃってテキストが膨大になったから、この際7回くらいにしちゃおうと思って。
ほら、7回なら見出しも「第7号」でストロンガーと同じ数だし。
むしろそっちが主な理由でだらだら長続きさせてたんじゃないだろうみね。
…そんな事はないよ。

えー最終回という事でやはり最後は「新 SPIRITS」一巻のメインである一文字と、メインヒロインたるルリ子さんについてです。

第7号・ライダー2号を生み出した女たち

TV本編14話「魔人サボテグロンの襲来」で滝とおやっさんの前に現れた一文字は本郷のみならず、緑川ルリ子についても面識があるようなセリフを言っている。

これに合わせてか、一文字はショッカーと本郷の事を探るためにルリ子に取材を申し込んでいるのだが、取材受託時(第4話~5話の間に相当)は本郷を「緑川博士殺害容疑者」と見ていたのに対し、取材時(第5話「殺人かまきり男」の直後)には本郷への容疑を自ら否定している。
このルリ子の心情変化は番組本編にもリンクしている。(第一回の時系列表を参照)


2号ライダーの話なのになぜルリ子?と思われるだろうが、「二号ライダー誕生編」で一文字にとって重要な役割で再登場する。

さて、本筋である一文字のキャラクターについて触れよう。
「SPIRITS」上で本郷の心情描写が少なめだった事は以前述べたが、それに対して一文字の方はある程度個性をしっかりと描かれている(上のコマのような「ギャグシーン担当」が多いのだが…)。

ルポライターである一文字は万事に客観的にあろうとし、改造人間である本郷を「化け物」と呼んだり、自分達でショッカーを倒そうとする被害者遺族らにも冷たい態度を取る。だが…

普段はおちゃらけたりして世の中にはどうにもならない事が多すぎる事を頭では理解し「リアリスト」として行動しているものの、その心の内にはいかなる者にも負けない熱い思いが渦巻いていた。

一般人を無残に殺す怪人達を前にして人間である事の誇りを持って戦う姿は、まさに「一文字隼人」という人物像を表しているだろう。

そんな一文字ですら、自らの肉体が「バケモン」に改造されてしまった事に呆然自失となってしまう。
このあたりの一文字がネガティブなシーンは非常に珍しい。


ショッカー基地を叩き潰しにいく本郷から一文字を託されたルリ子と小暮、石神らだったが、3人ともやはり一文字の姿を見て衝撃をうけるが、進むべき道を見失った一文字にルリ子は本郷のために闘ってくれと訴える。
そう、ルリ子もまた本郷の孤独の闘いを理解する一人だった。


さらに石神千恵の言葉が一文字を揺り動かす。剣よりもペンを取りながら、悪を許せぬ怒りを胸に秘めた男に炎が再び灯る。

第3回での解説で本郷は一文字を闘いに巻き込んだ事を後悔していたが、ルリ子や石神千恵らに「仮面ライダー」の魂を呼び起こされた一文字は自らの意志で闘いの道を選んだのである。

一方、5人のショッカーライダーに囲まれ滝と藤兵衛を人質に取られ、絶体絶命の本郷ライダー。

その時、今こそ強大すぎる敵・ショッカーと闘う力と意思を持って現れた一文字の瞳にはもはや迷いはなかった。
明鏡止水を思わせる描写の後、ガソリンのごとく燃え盛る炎はまさしく「穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた」かのようである。



この先の村枝氏渾身の名ゼリフ・名シーンは実際にコミックスを買って読んで頂くべきだろう。

さて、2巻のコミックス化は相当先かと思われるので少しばかりこの先の展開について。
上記のシーンで一文字のベルトにシャッターがついてない事に気づかれた諸兄も多いだろう。

この後の5人のショッカーライダーとの闘いでライダーの弱点がベルトの風車である事がわかるのだが、一文字は闘いの最中ベルトを破損してしまう。
今月の月マガから再開された「アマゾンvsガランダー編」冒頭部でベルトの修復と共にシャッターを取り付けたのが本郷である事がわかるのだが、今後弱点として攻められる事がわかっている場所を守るためにシャッターを取り付けた…という事だろうか。

余談だが風をエネルギーとするライダーにとってベルトはエネルギーを司る中枢であるのにTV本編でそこを弱点とされる描写は意外と少ない。

・仮面ライダー 第5話「怪人かまきり男」 ベルトに風を送れない狭い密室に閉じ込められる。
・仮面ライダーV3 第3話「死刑台のV3」 イカファイアのファイアスミでダブルタイフーンを停止される。
・(新)仮面ライダー 12話「暗闇のサンタクロース あぁ 変身不可能」 ナメクジンのNO液を浴びせられベルトに風を送れなくなってしまう。

我輩が把握してる限りではこれくらいである。
(「仮面ライダー」97話「本郷猛 変身不可能!」での瞬間凍結装置はベルトだけでなく本郷全身を凍らせているため除外)
最もライダーマン、アマゾン、スーパー1などはベルト以外の部分に中枢があるので、ベルトが弱点描写対象にならないライダーも多そうだ。

さて、長かったこの大解説もそろそろ終わりに近づいているのだが、あまりスポットをができなかった人物が約2名…そう、滝と藤兵衛。
彼らは基地潜入後にショッカーライダーにサクッと捕らえられて気を失っておりいいとこなしで終わりである。
それも無理からぬ事で、彼らはこの時点で一文字との面識もなく二人目のライダーの誕生も知らない「はず」なのだ。
ただ、まあ…つじつま合わせとはいえTV本編に最も近い扱いとも言えるかもしれない。

一方ルリ子にはこの後もちゃんと活躍があり、特にルリ子は本郷に習ったバイクテクによってショッカーサイクロンを駆って危機に陥った本郷らを助け、滝や藤兵衛を救出している。
物凄い扱いの差である。

そのルリ子が成長した姿で、再開された「アマゾンvsガランダー編」でさっそうと登場している。
天才緑川博士の血を受け継ぐ才女として今後の活躍に期待できるだろう。

さて、今回の連続記事のテーマは「二号ライダー誕生」というミッシングリンクの一説として「新 仮面ライダーSPIRITS」を取り上げ、ネタ部分を考察したり解説したりする事でした。
この「2号ライダー誕生編」はたった一巻でこれほど語りつくせるほど内容が濃く、村枝氏がいかに長い間話を練りこんで「大好きな仮面ライダー」を凝縮したかがよくわかります。

が、むろんこれが真説ではありません。
かつてイベント「仮面ライダー復活祭」にて石ノ森先生自身がこうおっしゃられていました。
「TVにならなくてもいいじゃない。仮面ライダーは君たちの心の中にあるのだから」と。
だから2号ライダーの誕生秘話もライダーファンの数だけ存在するのでしょう。

そして…今回の記事を作る上で「仮面ライダーをつくった男たち」を読んでたらどうしても「ある方達」に訴えたいセリフがありました。





「仮面ライダーをつくった男たち」より

懐古趣味かもしれない。美化された話かもしれない。
それでも「仮面ライダー」…だけでなく子供に夢を与える番組を作る人達にはこんな志を持っていて欲しい…と思っています。かなり本気で。


最後に。ここまで好き勝手な事を語り画像を張りまくった事を 故・石ノ森章太郎、村枝賢一両先生に深くお詫びすると共に、これほどのめり込める作品を作られた事に深く感謝する物であります。

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